1.バイオディーゼル燃料(BDF)とは?
2.メリット
3.デメリット
4.作り方
5.BDF・軽油・菜種油を比較
6.グリセリンの処理
7.製造施設の紹介
8.カーボンニュートラル
9.BDFの品質
10.【参考】BDFの品質チェック方法
バイオディーゼル燃料(BDF)とは、植物油からつくられるディーゼルエンジン用のエコロジー燃料のことです。
トラック・重機・トラクター・発電機・ボイラーなどで軽油のかわりに燃料として使用することができます。
燃費や走行性能も軽油とほぼ同等で、最近では地球温暖化防止やエネルギーの地産地消といった面で注目されています。
海外では新油のナタネ油や大豆油を原料としていますが、日本ではリサイクルの観点と食料との競合を避ける意味で、使用済み天ぷら油とメタノールを化学反応させ製造する方法が普及しています。
この方法で軽油とは成分が異なるものの、一般的なディーゼルエンジンで利用できるバイオディーゼル燃料(BDF)を製造することができます。
軽油の主成分が炭化水素であるのに対し、バイオディーゼル燃料(BDF)の主成分は脂肪酸メチルエステルで、FAME(Fatty acid methyl
ester)とも呼ばれています。
バイオディーゼル燃料の略称として使用されている「BDF」は、有限会社 染谷商店の登録商標で「Bio(生物)+Diesel(ディーゼル)+Fuel(燃料)」という造語の頭文字からつくった言葉とのことです。なお海外ではバイオディーゼル燃料のことを「Biodiesel」と表記するのが一般的です。
写真はバイオディーゼル燃料100%のサンプルです、色の濃さは原料となる使用済み天ぷら油の着色状態に影響されるため品質に直接関係ありません。
あぐりーんみやぎでは品質安定のため黒色の酸化防止剤を添加しています、そのために色が濃くなる場合があります。また揮発性は少ないため臭いはあまりしません。
(1)給油できる場所が限られています。
(2)最新のトラックに搭載されているDPF(ディーゼル微粒子捕集フィルター)などの排気ガス浄化装置との相性問題で、使用を推奨できないことがあります。
(3)車両のメーカー保証が受けられなくなる場合があります。
(4)BDFは軽油にくらべゴム素材に浸透する力が強く、ゴムが膨張し軟化する場合があります。
そのため耐油性の低いゴムの燃料ホースやパッキンの場合は耐油性の高いフッ素系ゴムのものに交換していただく場合があります。
(5)古い車両の場合、排気管から揚げ物の匂いが強くする場合があります。
(6)エンジンのタイプによってはエンジンオイルが増量し希釈しやすい場合があります。日常点検で増量を確認した場合はすぐにオイル交換をしてください。
あぐりーんみやぎでは「使用済み天ぷら油」・「メタノール」・「反応を促進させるアルカリ性の薬品(触媒)」の3種類の材料を60度前後に加熱し混ぜ合わせ「エステル交換反応」とよばれる化学反応をさせてつくっています。
この反応により副生したグリセリンを比重により分離した後、生成したバイオディーゼル燃料に残留したグリセリン・メタノール・触媒などの不純物を温水洗浄により除去し、最後に水分を除去し完成となります。
この方法で原料となる使用済みの天ぷら油から、ほぼ同じ量のバイオディーゼル燃料(BDF)をつくることができます。
天ぷら油は動粘度が大きく、そのままではエンジンで上手く燃焼しないことから、「エステル交換反応」を利用することで動粘度や発火点などの性状を軽油に近づけ、一般的なディーゼルエンジンで利用できるように加工しています。
あぐりーんみやぎでは、原料となる使用済み天ぷら油のクリーニングを物理的および化学的な方法で丁寧に行うこと、エステル交換反応を複数回行うこと、薬品使用量を最適化すること、長期保存を可能にするための専用の酸化防止剤を添加をすること、凍結を防止するため冬季は流動点降下剤を添加することなどで高品質のBDFを製造しています。
またBDFの温水洗浄後、残留水分を除去する時もタンク内を減圧し沸点を下げ、100度以下で加熱脱水することでBDF製造にともなう使用エネルギーを削減しています。
バイオディーゼル燃料(BDF)の製造方法
エステル交換反応イメージ図
バイオディーゼル燃料(BDF)の製造フロー図
項目 | BDF | 軽油 | 菜種油 |
引火点(℃) | 170 | 88 | 310 |
動粘度(cSt)30℃ | 5.6 | 3.5 | 50.8 |
発熱量(kcal) | 9000 | 10600 | 9300 |
流動点(℃) | 原料の油種による | -20以下(3号) | -15 |
主成分 | 脂肪酸メチルエステル | 炭化水素 | トリグリセリド |
エネルギーの分類 | 再生可能エネルギー | 化石燃料 | 再生可能エネルギー |
一般的なバイオディーゼル燃料の製造方法では同時に原料の使用済み天ぷら油の10数%量のグリセリンが副生されます。
このグリセリンは不純物が多く色も褐色で「粗製グリセリン」または「廃グリセリン」などと呼ばれ廃棄物として処理されてきましたが、あぐりーんみやぎでは堆肥発酵促進剤やボイラーの助燃剤などとして100%再資源化しています。
事業所全景
反応設備棟、各種貯蔵タンク
バイオディーゼル製造プラント
バイオディーゼル製造タンク
バイオディーゼル専用給油所
バイオディーゼル専用タンクローリー
バイオディーゼル燃料(BDF)を燃焼させると二酸化炭素が発生しますが、発生した二酸化炭素は植物が吸収し環境全体では二酸化炭素は増えません。この考え方はカーボン(炭素)ニュートラル(中立)と呼ばれ地球温暖化防止に有効とされています。
実際に軽油の代わりにBDFを使用すると、1リットルあたり約2.6kgの二酸化炭素を削減したことになります。これらのことから、いずれは枯渇する化石燃料に対しバイオディーゼル燃料(BDF)は再生可能エネルギーと呼ばれています。
バイオディーゼル燃料(BDF)の品質規格には、軽油に質量5%のBDFを混合したB5混合軽油に対応する「JIS規格K2390」があります。
現在、BDFの混合率が5%を超える高濃度使用に対応する強制規格はありませんが、あぐりーんみやぎでは全国バイオディーゼル燃料利用推進協議会が定める「協議会全項目規格」と「協議会モニタリング規格」の分析を定期的におこなっています。
さらにロットごとの簡易検査とガスクロマトグラフによる分析を行い、高い品質が保たれているのを確認した上でBDFを販売しています。
また県内の大学の協力を得て、BDFの品質向上の協同研究を行っています。
2015年7月〜12月までのガスクロマトグラフによるBDFの分析結果 (単位は質量%)
【参考】国土交通省資料「高濃度バイオディーゼル燃料等を使用される皆様へ」より抜粋
”「揮発油等の品質の確保等に関する法律」では、バイオディーゼル燃料を混合した軽油(B5)の品質規定を設けており、その範囲内での使用が必要です。
また、この混合軽油(B5)の品質を確保する上で、混合すべきバイオディーゼル燃料の性状を明確にする 必要があることから、JIS規格 K2390において混合用のバイオディーゼル燃料の品質が定められています。
この規格は、混合濃度5%以内で混合することを前提としたものであり、この規格を満たしたもので5%以内での使用が求められています。
なお、高濃度で使用する場合には品質が保証される規格はありませんが、少なくとも不純物を極力抑えるとともに、動粘度、 水分、メタノール、トリグリセライド、遊離グリセリンの数値に留意が必要です。”
目視や匂いだけでバイオディーゼル燃料の品質を判断することは難しいので、専門の分析機器や分析会社で調べてもらう必要があります。
海外のサイトではバイオディーゼル燃料をDIYで製造している人向けに、手軽にできる簡易的なチェック方法が紹介されています。
DIYバイオディーゼル製造者が知るべき5つのテスト (webarchive)
(1)Testing finished biodiesel for water BDFの水分量テスト
(2)Cloud Point and Pour Point Tests BDFの曇り点と流動点のテスト
(3)The 3-27 Conversion Test BDFの変換率のテスト
(4)Testing for Water in WVO 廃食用油の水分量テスト
(5)Titrating WVO 廃食用油の滴定
労働者協同組合 労協センター事業団
大崎バイオマス事業所
あぐりーんみやぎ
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